名古屋地方裁判所 昭和59年(わ)994号 判決 1984年8月15日
本店の所在地
名古屋市北区志賀南通二丁目二四番地
法人の名称
株式会社ユニオン商会
代表者の住居
名古屋市名東区猪高町大字猪子石字蓬莱洞五〇番地の一六〇
代表者の氏名
佐藤敬一
本籍
名古屋市西区新道二丁目一五一六番地
住居
名古屋市名東区猪高町大字猪子石字蓬莱洞五〇番地の一六〇
職業
会社役員
氏名
佐藤敬一
昭和五年一月四日生
右の株式会社ユニオン商会並びに佐藤敬一に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岡田正男並びに弁護人竹下重人各出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社ユニオン商会を罰金四〇〇〇万円に、
被告人佐藤敬一を懲役一年六月に各処する。
被告人佐藤敬一に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社ユニオン商会(以下「被告会社」という。)は、名古屋市北区志賀南通二丁目二四番地に本店を置き、陶磁器等雑貨の輸出入及び国内販売を営むもの、被告人佐藤敬一は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるが、被告人佐藤敬一は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部除外等の方法により所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三〇四四万九三三〇円で、これに対する法人税額が一一三三万九六〇〇円であるのに、同五六年五月二九日、名古屋市北区清水五丁目六番一六号所在の名古屋北税務署において、同税務署長に対し、情を知らない被告会社の顧問税理士伊藤芳雄を介して、所得金額が四〇〇万九三九二円で、これに対する法人税額が一一二万二五〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一〇二一万七一〇〇円を納期限までに納付せず、もって同額の税を免れ
第二 同五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億八五九五万八九四八円で、これに対する法人税額が七六六三万一六〇〇円であるのに、同五七年五月二九日、前示税務署において同税務署長に対し前同様伊藤芳雄を介して所得金額が二八七九万七七四二円で、これに対する法人税額が一〇六二万四〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額六六〇〇万七六〇〇円を納期限までに納付せず、もって同額の税を免れ
第三 同五七年四月一日から同五八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億七〇〇四万〇三四七円で、これに対する法人税額が六九六四万二四〇〇円であるのに、同五八年五月三一日、前示税務署において同税務署長に対し、前同様伊藤芳雄を介して、所得金額が二九七五万八九七八円で、これに対する法人税額が一〇七二万四〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額五八九一万八四〇〇円を納期限までに納付せず、もって同額の税を免れ
もって、いずれも不正の行為により法人税を免れたものである(逋脱額の確定内容は別表一ないし三の各修正貸借対照表の脱額計算については同四ないし六の脱税額計算書の各記載のとおりである。)。
(証拠の標目)
判示全部の事実について
一 被告人の
1 当公判廷における供述
2 大蔵事務官に対する質問てん末書一三通
3 上申書
4 検察官に対する供述調書
一 登記官春田武作成の登記簿謄本
一 大蔵事務官作成の
1 告発書(検甲第一号証)
2 証明書三通(検甲第五、第三二及び第三六号証)
3 脱税額計算書説明資料(検甲第九号証)
4 査察官調査書一一通(検甲第一〇、第一一、第一七、第二三ないし第三〇号証)
一 神谷征二、伊藤芳雄、大島由美子(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の
1 証明書二通(検甲第二及び第三三号証)
2 脱税額計算書(検甲第六号証)
3 査察官調査書五通(検甲第一四ないし第一六、第一八及び第一九号証)
判示第二及び第三の事実について
一 大蔵事務官作成の査察官調査書五通(検甲第一二、第一三、第二〇ないし第二二号証)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の
1 証明書三通(検甲第三、第三一及び第三四号証)
2 脱税額計算書(検甲第七号証)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の
1 証明書二通(検甲第四及び第三五号証)
2 脱税額計算書(検甲第八号証)
(法令の適用)
被告会社の判示第一ないし第三の各所為は法人税法一五九条一項、一六四条一項に各該当するので、情状により同法一五九条二項を各適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪につき定めた罰金の合算額以下において被告会社を罰金四〇〇〇万円に処し、被告人佐藤敬一の判示第一ないし第三の各所為は法人税法一五九条一項に各該当するので、所定刑中懲役刑を各選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重いと認められる判示第二の罪の懲役刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、同被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 早瀬正剛)
別表一
修正貸借対照表
租税犯の類型
過少申告脱税犯
昭和56年3月31日現在
<省略>
別表二
修正貸借対照表
租税犯の類型
過少申告脱税犯
昭和57年3月31日現在
<省略>
別表三
修正貸借対照表
租税犯の類型
過少申告脱税犯
昭和58年3月31日
<省略>
別表四
脱税額計算書
自昭和55年4月1日
至昭和56年3月31日
<省略>
<省略>
別表五
脱税額計算書
自昭和56年4月1日
至昭和57年3月31日
<省略>
<省略>
別表六
脱税額計算書
自昭和57年4月1日
至昭和58年3月31日
<省略>
税額の計算
<省略>